推進の背景
蔚山経済自由区域の指定を推し進めた背景
蔚山の経済・社会の条件悪化
- 蔚山の経済的・社会的条件が時とともに悪化
- 経済成長率が全国平均で3%のところ、蔚山は1.4%
- 失業率が2014年の2.7%から2018年には4.6%へと大きく増加
- 輸出は2014年以後大幅に減少し、回復していない
· 2014年から2018年までの間に年平均6.7%減少 - 大型小売店を基準にすると2014年に比べ2018年の販売指数が大きく下降し、消費が減退
- 人口は2015年の1,173,534人をピークに減り続けており、50歳以上の人口は増加している反面、50歳未満の減少傾向が継続
蔚山の主力産業の競争力悪化
- 蔚山は昔から製造業中心の都市で、3大主力産業(自動車、造船、石油化学)の街として成長
- 製造業の付加価値比重は63.2%(2017年現在)
- 製造業における蔚山の比率: 付加価値(82.6%)、従事者数(74.4%)、事業体数(50.3%)
- しかし、主力産業の競争力悪化により都市としての成長に限界
- 蔚山の全国に占める付加価値が減少しており、解決策が必要
- 解決策となる新成長推進産業としてエネルギー産業を育成することに
- エネルギー産業は主力産業拡大の方策であり他産業との 持続的な連携が可能な産業
エネルギー産業育成のため経済自由区域制度の活用が必要
- 蔚山は従来の主力産業インフラがよく整っており、エネルギー産業の優秀な基盤としても活用可能
- しかし、中核技術の不在と新産業に対する規制が存在し、育成に制約あり
- 重要中核技術(水素生産触媒剤、生産技術など)を海外に依存
- 事業の効果実証と活性化のための基準がなく、規制が存在
- 経済自由区域の特殊性を活用し、限界を克服してエネルギー産業を育成する考え
- 外国の企業や研究機関を誘致することで中核技術の国産化を推進
- 特別法を活用したさまざまな規制緩和や産業基準整備など
蔚山経済自由区域の指定の必要性
国レベル: エネルギー市場を活用し、国としてエネルギー産業を先取りする必要あり
- 韓国のエネルギーハブは有意な立地にあり、これを土台に制作支援を強化するとともにエネルギーハブ造成事業を推進・基盤構築するため政府が主導
- 急変する世界エネルギー市場に対応すべく、水素経済への転換、北方経済協力、およびそれらの育成のため、国家レベルで前哨基地を構築
地域レベル: 蔚山の新しい「飯の種」として水素エネルギーとエネルギーハブ分野を選定
- 蔚山の潜在的強みであるエネルギー融合産業分野のインフラを基盤に、北東アジアの拠点となるエネルギー水素都市づくりと、それに伴う経済自由区域の指定
- 蔚山は朝鮮半島の産業、交通、物流などの産業の中心であるため、主力産業の問題解決策を立て、小さくとも強力な企業を誘致することで輸出依存型の経済構造を解消
広域レベル: 嶺南圏(慶尚北・南道)の産業および経済の活性化のため、制度基盤を整える必要あり
- 産業体の首都圏集中による嶺南圏の産業・経済下降を防ぐため、制度基盤を整備
- 蔚山を中心とする東海岸のエネルギー分野、東南圏全体として南海岸サンベルトの役割を強化
発展の潜在力および条件の分析
優れた産業インフラや港湾をもつなど地理的な優位性を確保
- 既存主力産業とエネルギー産業分野との融合条件(企業、技術、インフラなど)を確保
韓国最大の水素生産地域であり、かつ、川上・川下の関連産業が発達した地域
| S-O戦略 | S-T戦略 |
|---|---|
| - 既存の産業インフラや港湾との連携方法を模索 - 北方地域エネルギー経済との交流・協力を多角化する方法の模索 - 整った産業インフラとエネルギー専門人材の育成機関を通じて新エネルギー産業を成長させる |
- 水素産業中心のエネルギー基盤産業を育成 - 韓国最大の液体貨物処理能力をもつ港湾を活用してエネルギーハブを構築 |
| - 北方経済交流の活性化 - 新しいエネルギー産業の構築 |
- 主力産業の多角化と高度化 |
蔚山経済自由区域発展の方向
新しい経済自由区域モデルの設定・提示: 北東アジアエネルギーハブ経済自由区域
- エネルギー基盤の産業分野の資本と技術を導入し、高級人材を育てることで、エネルギー基盤経済体制を構築
- 単純製造業に留まるのではなく、新産業・高付加価値サービス業へと発展
企業投資をベースにした投資促進型「蔚山型雇用」事業と企業主導型の蔚山経済自由区域との連携を推進
- アンカーとなる企業の新規投資を集中的に誘致(現代モービスなど)し、大企業・中堅・中小企業間の共存協力や大規模プロジェクトを通じて関連企業を継続的に呼び込む
- 新技術の実証や規制緩和に必要な一定の面積があって高級人材の活用と産学研ネットワーク構築が容易な広域市であり、旧都心・産業団地の活用が可能、加えて既存の特区と連携した生産機能拡張が容易なため、早期の成果が見込まれる
エネルギー関連産業の集積により川上・川下産業を合わせたシナジー効果を発揮
- エネルギー産業の成長段階に伴い生産、保管・運送、活用関連産業が集積
豊富な港湾インフラを活用し、北東アジア最大のエネルギー物流中心港湾拠点を育成
- 単なる物流保管運送にとどまらず、新しい形態の経済自由区域モデルを発展させる
- ロサン(ロシアのロとウルサンのサンを組み合わせた語) マーケット、北方へのエネルギー基盤産業の広がりにより、エネルギー中心のグローバルな港湾をつくる
エネルギー産業のテストベッド活性化により水素シティを実現
- 水素産業の実証強化により炭素ゼロ・水素シティのロールモデルを構築し、拡大させる
